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「花の花詩」なのに花が見えない?
いつのまにか春になってしまいました。温暖化のこともありましょうが、異常に早い春の訪れです。
いっそ、つらい花詩はやめにして、春を謳歌するほうがよほど健康的かしらんと思います。けれども春は、つらい冬の後ゆえ喜びも高まるのでしょう。春がこれほど待ち遠しいとは、私には北海道に住むようになって、はじめて経験したことです。
冬はどうしても内向的になりがちです。というより暗く沈んだ気さえします。ここではまず中原中也の作品を紹介しましょう。
富永 哲三
この詩には確か曲もつけられていたと思いましたが定かではありません。また、教科書にも使われたと聞いています。
雪を花と見る風流は中村良夫さんの風景学入門に紹介されていますが、この詩では風流どころの話ではありませんね。
ところで、シャンソンの世界ではアダモのヒット曲「雪が降る」(Tombe la neige)があります。現代シャンソンですから、どちらかといえばポピュラーソングのような気もしますが、こんな調子です。
いずれにしても暗い気持ちに変わりません。
冬をテーマとして歌われた極めつけはミュラー(1794〜1827)作詞、シューベルト(1797〜1828)作曲の冬の旅でしょう。実はこの歌曲集の詳しい内容は知らなかったのですが、調べている内に、まさにこのテーマにふさわしい内容であることがわかりました。死と対峙するほどの失意が曲に込められているのです。
1997年、NHK教育TV趣味百科で「シューベルトを歌う」という番組があり、デートリッヒ・フィッシャー・ディスカウが講師として指導していました。たまたま、そのころ合唱団に参加することになり、テキストを求めたのですが、ちょうど1番目の曲、「おやすみ」が収録されていました。
今はインターネットなどでいろんな人の解説、解釈を読むことが出来ます。その一人、森章吾さんの解釈を参考にさせていただきました。氏に、引用するお願いをしたところ、快く了解してくださいました。『文化的に格調の高いところへ引用していただくのは光栄です。どうぞお使いください。』という嬉しいお言葉でした。氏はこの曲「おやすみ」の出だしが特異な調子であることを指摘されています。少し長いですがおやすみ全文と解釈を引用します。
さて、この歌詞の冒頭3行目に次の述懐があります。
花束に彩られ、5月は私にやさしかった。
(Der Mai war mir gewogen Mit manchem Blumenstrau)
このように、冬が春の喜びと対照的になりがちなのは世の東西を超えてということでしょうか。
たまたま、私も失意のどん底にあり、
ために筆ならぬタイピングもままならなかったのですが、
少し冷静になってみるともう春ですから、
元気を取り戻して頑張らなくてはと思います。

最後の校正をと思った昨日と今日は、
また大雪です。春はまだ遠い。
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